クロダイの種苗生産は、親魚養成・採卵・稚魚の飼育・中間育成という手順で行います。
それぞれの手順について写真を使って説明します。
(親魚養成)
種苗生産は、大阪湾産の親魚を使って行います。
3月上旬から4月下旬にかけて温度を1週間に1℃ずつ上げて、最終的に17℃ぐらいになるようにします。
こうすることによって産卵期を人為的に調整することができます。
(採卵1)
産卵は夕方から夜にかけて行われます。
ぬの卵は、分離浮性卵といって、卵が一粒ずつ離れていて水に浮かびます。夕方、ネットを水槽の上にある排水口にセットすると、
翌日には、排水とともに流れてきた卵がネットにたまっています。(5月上旬)
(採卵2)
採卵槽に集まった卵をタモ網ですくい、水をはった30リットルの円形水槽に収容します。それを手でかき回してしばらくすると、
浮いた卵と沈んだ卵に分かれます。
沈んだ卵はほとんどが死んでいますので取り除き、浮いた卵だけを卵管理槽に収容します。
(卵管理)
採取した卵を別に用意した水槽にネットを張りその中に1日入れておきます。
翌日、再び上記のように卵を分離させて、浮いた卵だけを稚魚の飼育槽に収容します。
(稚魚の飼育1)
稚魚の飼育は、50キロリットルの水槽を使用して行います。
ここで、約50日間、飼育します。(5月〜6月)
(稚魚の飼育2)
ふ化して3日目から口が開いて餌を食べ始めます。
ワムシを与えている間は、ワムシの餌となるナンノクロロプシスという植物プランクトンも一緒に水槽にいれておきます。そのため、水の色は緑色になります。
(稚魚の飼育3)
飼育を開始して15日目ころから底が汚れてきますので自動底掃除機を使って掃除をします。
(取り揚げ)
飼育を開始して50日前後、大きさが15から20mmになると、飼育水槽から稚魚を取り揚げます。
排水口に取り揚げ用のネットをセットし、水と同時に稚魚を集めます。集まった稚魚はタモ網ですくい、バケツに収容します。(6月下旬)
(運搬)
取り揚げた魚は1000リットルの円形水槽に収容し、それをフォ−クリフトでイケスの近くまで運搬します。
(バケツリレ−)
イケスまでは、職員総出でバケツリレ−で運びます。
(中間育成)
このイケスで大きさが全長5センチになるまで飼育します。餌は、配合飼料を与えます。
全長が5センチになると、トラックで運搬して、放流します。